あとどれくらい


許されるのだろうか


やっと繋いだ姉弟の絆



〜ずっと姉弟じゃん〜




ふかふかのベッドに体を横たえ、布団を頭まですっぽり被る


窓から入る光が強くなってきて、朝が来たのだと知らせる

俺は、夢と現実の狭間をいったり来たりして…最高に心地よい時間を過ごす



最高の至福の時間じゃん?


俺はもう一眠りしようと瞼を閉じれば、意識は朦朧としてきて


後5秒…後3秒すれば、完全に意識を手放すだろうと言う、細やかな至福の時間は、見事に姉であるテマリの一言で打ち砕かれた



「カンクロウ!いつまで寝てるつもりだ、早く起きな!」



これは、云わば日課のようなモノじゃん


昔はここに我愛羅の名前も入っていたが、風影に就任して以来、我愛羅が家に帰ってくる事も減ってしまった今、テマリと二人で家にいることが増えたじゃん


あまり長い間返事をしないと、罵声が飛んでくるから家のどこにいても聞こえるような声で叫び返す。



「起きてる、今行くじゃん」



おれはまだ睡眠を欲している体を無理矢理起こすとキッチンへ向かう



「もう昼だぞ!?」

「昨日は夜勤任務だったじゃん」



俺は欠伸を噛み殺しながら答える


「まぁ、いい…ご飯出来てるから早く顔洗ってきな?」

「悪りぃじゃん」


俺は、テマリの行為に甘えて、そのまま洗面所に向かう

まだ覚醒しきらない頭を歯を磨きながら覚醒させる



「待たせたじゃん」

「本当、お腹が空きすぎて倒れるかと思った」


オーバーなリアクションをとって、不機嫌を主張するテマリ


「お詫びに晩飯、当番変わるら許してくれじゃん」

「…それなら許してやる」



目の前のテマリは、漫画なら背景に『ラッキー』と文字が入りそうなくらい


満面の笑みを浮かべている

一体この笑顔で何人の男が涙を流す事になったのか、聞いてみたいじゃん


そんな事もどこ吹く風で、昼飯のサラダに手を付けながら世間話をしている



「そう言えば、今晩は我愛羅も帰ってくるらしいぞ?」

「珍しいじゃん?」


「やっと中忍試験が終わったからな、一段落着いたんだろ」


「そうか…なら今日の晩飯、焼肉でもするじゃん?」

「いいなぁ!きっと我愛羅も喜ぶよ」





テマリは食べ終わった食器を荒い、俺は溜まった洗濯物を洗う…以前はテマリのポジションは我愛羅でテマリは掃除機をかけていた



役割分担を決めたのはテマリだ、そして、表を作ったのは俺、言い出したのは我愛羅じゃん



『家族になりたい』




全ては我愛羅の一言から始まったじゃん




今まで、家には寝に帰るだけだった俺とテマリは、我愛羅を含め、一緒に食事を摂るようになり


家政婦に頼んでいた家事は当番制になった


3人で『あーでもない』『こうでもない』と言いながら作ってきた家族じゃん



今となっては、皆里の重要ポジションにつき、家には中々帰れなくなってしまったけど、皆意識して帰れる時は必ず家に帰るじゃん



人よりも時間はかかっちまったけど、中々良い家族になれた…いや戻れたじゃん


俺は、洗濯機が止まるまでの間にゴミを出しに行き、帰ってきたら、洗濯物を干す


長年の習慣とは怖いもので、洗濯物が止まる時間ぴったりに帰ってこれるのだ


チャクラ糸を操れる俺にとっては、洗濯物干しなんて、造作もないこと


一気に何枚もの洗濯物を干し、3人分の洗濯物も一瞬じゃん



一連の作業が終わったら自由時間



各々がプライベートな時間の使い方をするのだ


時に、3人で人生ゲームをしてみたり、任務の事を話したり、自分の趣味に走ったり



きょうは、久々にオフを貰ったのだが、休み事態が久しぶり過ぎて、どう過ごしていいかわからないじゃん…


取り敢えず、次の任務に支障が出ないように、傀儡の整備をするために、自室に隠った。


亀裂の入ってしまったパーツを取り替えて、関節の動きを入念にチェックする


難易度の高い任務になればなるほど、関節の動きの滑らかさや音で任務の成功率が変わってくる


扉の隙間から漂う甘い香りに集中力が途切れる


一度やりだすと、熱中しすぎるのは、悪いくせじゃん



気が付くと窓からは星が覗いている


木の葉と違い遮るものの何もない、砂漠の夜空は澄んでいて綺麗じゃん



この甘い香りの正体は心辺りがある

きっと姉は毎回木の葉から帰るたび、この星空を眺めて、弟と同じ年の中忍の姿を思い浮かべ、眠りにつくのだろう


でも、何であえて奈良なのか分からないじゃん


一つ言うなれば、試合で勝ち逃げされた事なんだろうけど、わざわざ他里の俺よりも年下の男じゃん


同じ里なら、逢いたいときに会いに行けるし


弟の俺が言うのも何だけど、テマリは容姿も綺麗だしキツイ性格に目を瞑れば、面倒見の良いやつだし、選び放題じゃん



それに、姉貴と奈良が結婚したらアイツと義兄弟になるのは複雑な心境じゃん



これ以上、姉弟に仏頂面ばっかり要らないじゃん?


おれの立場を引き継いでくれる、茶目っ気たっぷりのムードメーカ的なやつが来てくれると助かるじゃん



世話しなく動いていた気配が落ち着いた頃、それとは違う気配を感じ取り、重い腰を上げた


長時間同じ姿勢でいたせいか、関節に違和感を感じる



控えめな、姉弟じゃなきゃ何て言ってるのかわからないような小さな声で


「ただいま…」


と声が聞こえ


その声より何倍も大きな声で


「お帰り」


とテマリの声が響く



俺は、2人のいる部屋へ顔を出し、姉弟水入らずの時間が始まるのだ



「我愛羅、帰ったじゃん」

「あぁ」

「カンクロウ、ご飯まだか?」

「今、用意するじゃん、お前は開口一番がそれかよ…年頃の女らしく“ダイエットしてるから”ぐらい出てきてもいいじゃん?」


「煩いな…良いじゃないか、女はこれぐらいの方が可愛いらしいからな…なぁ?我愛羅?」


「…あ、あぁ」


「我愛羅を味方に付けるのはズルいじゃん…我愛羅もたまには正直に言うじゃん」


「俺はいつでも正直だ」


余計な事を言うなと言わんばかりに、視線を送ってきやがる、これが最強の姉と最強の弟に挟まれた真ん中に産まれた運命じゃん


「わかった、わかった、俺が悪かったじゃん」


こう言うときは、いち早く謝ってしまうのが得策じゃん


「わかればいいんだよッ」

「…」


機嫌を取り戻した姉と無言で頷く弟…


任務では弟が主導権を握り

家庭では姉が全ての主権を握ってるじゃん


長男の立場が全くないじゃん



「我愛羅?今日は、お前の好きな焼肉じゃん、早く手洗ってこい」


「あぁ」



俺が、野菜を切ったり、色々と用意している間に


2人は席につき

テマリは髪を一つに纏め前髪を止めて

我愛羅はテマリのボンボン付きの髪紐でちょんまげにしていて

2人共、戦闘体制万全じゃん?


今夜の晩食は争奪戦だな…


「カンクロウ!早くー!」

「急げ…」



肉の事になると、我愛羅も年相応なただの餓鬼じゃん…



「今行くじゃん」



3人揃って夜ご飯なんて何ヵ月ぶりだろうか?


俺達が望んできた未来は、確かにこの空間にある


自然と笑みの溢れる食卓

気兼ねなく話せる

冗談を言い合える関係



俺達は、この幸せな日々を守るため



弟は風影に

姉は外交兼側近に

俺は、そんな姉と弟を守るために、国境警備に




里の首脳に各々がつくのだ




守りたい家族がいる今、そう簡単にはくたばれねぇじゃん




俺は、タオルを頭に巻き付け席に付く


準備は整った、ひっくり返した肉を誰が取るのか…息を飲む一瞬を制すのは






何時も我愛羅だ





「お前、焼肉の時はいつも早いな」

「我愛羅には敵わないじゃん」

「…お前達が遅いんだ」

「もう…タレついてるぞ…ほら」

テマリはあろうことか、風影の顔を台拭きで乱暴に拭き、我愛羅は、顔を歪めてるじゃん


そんな姿に自然と笑みが溢れた 



その晩、中々寝付けずに中を仰いでいると風呂上がりのテマリが部屋に訪れた



「カンクロウ?まだ起きてるか?」

「どうした?珍しいじゃん」


「何か寝付けなくてさ」


そう言った姉は微かにアルコールの香りを放っていて、風呂上がりに一杯飲んだのだろう


「俺も色々考えてたら寝付けなくなったじゃん」

「久し振りに一緒に寝ないか?」

「お前酔ってるじゃん」

「たまにはいいじゃない」

「狭いじゃん…」


俺の、1人でも少し窮屈に感じるベッドはさらに窮屈になる


「カンクロウ…」

声の主に振り向くと入り口に我愛羅が立っていて



「…お前もじゃん」

「たまにはな…」


結局、俺を挟んで右手にテマリ、左手に我愛羅…


「狭い通り越して、暑苦しいじゃん…」

「たまにはな…」

「たまにはだ…」

「はぁ…たまにはじゃん…」


姉弟で川の時に横たわったベッドは寝返りさえうてない

明日は全員寝違えた体に苦しむんだろうけど

3人揃う事はめったいない

たまにはこんな日があってもいいじゃん


すでに両脇で寝息をたてている2人に釣られて瞼が重くなる



結局



姉貴は最強

弟も最強

間に挟まれた

真ん中っ子の俺は

何だかんだ愛されキャラじゃん


悪くない


寧ろ…最強じゃん?


この先、何があっても

離れてしまっても

ずっと家族じゃん?

だって俺達は、人より何倍もの困難を一緒に乗り越えてきた


唯一無二の家族なのだから…


end


 


風に乗って〜桜草〜』のあや様から、相互リンク記念に
こーーーーーんな素敵な小説を頂いてしまいました!!!
砂3姉弟ネタなんて…シカテマと同じくらい…いやそれ以上に大好物ですYO!!!
しかも私の大好きなカンクロウが主役ときた!!
なんて私の趣味を理解して下さっているのでしょうか…(感涙)
長い期間姉弟間に立ちはだかっていた心の壁がやっと
崩れ去り、初めて本当の意味で『家族』になった3人。
だからそこ笑い合いたいし触れ合いたい。
近くにいても遠く離れていた心が今はどこへ行こうが気持ちはひとつ。
シングルのベッドでぎゅうぎゅうになって並んで眠る描写は
とても愛らしく限りなく優しくて、読んでいてウルっと来て
しまいました。
改めてこの3姉弟が大好きになりました。
あや様本当にありがとうございました!!宝物です☆








そしてそして…小説だけではなく可愛いイラストまで頂いてしまいました!!
(上イラスト)以前サイトのトップにキャラの顔クッキーを焼いているテマリの
イラストを載せてらして、それがあまりにも可愛かったので「私はカンクロウのクッキーが
欲しいですねゲヘヘ」とコメントした所…実際に頂いてしまいました!!
そ…それもカンクロウ本人からJAN?!!(大興奮)
ありがとうございます!勿体無いので冷凍保存です!(笑)
エプロン姿も可愛いですねぇ〜〜!
(下イラスト)頂いた小説のワンシーンのイラストを頂きました!
姉と弟の寝相が悪くても許しちゃう寛大なカンクロウv
この3人本当に愛しくて、ずっと見ていても飽きません。
なんと!ベッドの上に置いてあるアクセ、私が以前カンクロウを
描いた際彼が身につけていた物だとか!!そして壁には
私が以前ブログでふざけて描いた『KANQLO』のポスター!!
芸が細かすぎて本当に驚きました!!
手の凝ったイラスト本当にありがとうございました!!


ポップで可愛い小説&イラストサイト様です☆





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